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[SF小説] 「風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記」 by 小川一水 [その他::趣味::本]

ときどき出てくる趣味の本の紹介の記事です。[あせあせ(飛び散る汗)]
今回もお付き合いいただければ幸いです...
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今回紹介する小説は、小川一水 著の 「風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記」です。[ぴかぴか(新しい)]
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まず、これは歴史SFとなっています。
時代設定も中世14世紀のドイツです。神聖ローマ帝国です[exclamation] でも、SFも入ってます。[ダッシュ(走り出すさま)]
背景的に、その当時の周辺の国家関係などを踏まえた上で、神聖ローマ帝国の辺境にあるレーズスフェントという街でのお話が描かれます。
レーズスフェントという街は、紀元前のローマ共和国時代に一度隆盛を誇るが、その後、滅びます。
中世になって、主人公がその街を再度興すような流れのお話です。[グッド(上向き矢印)]
ある意味、ちょっと意味は違いますが、街おこしとも言えますが...[あせあせ(飛び散る汗)]

街を大きくしていくうちに、いろいろな軋轢などで大きな問題がいろいろと起こります。[むかっ(怒り)]
海賊とももめることはありますが、そこについては仲間にしていきます。
そして、終盤ではデンマークとの対立、そして、戦争が... (これ以上はネタバレなので...[ダッシュ(走り出すさま)])

ここまでの内容だとSFは無いように思えますが、しっかりとあります[exclamation×2]
実は、古代や中世での宇宙生命体とのファーストコンタクト的な形です。
レーズスフェントの街は中洲にありますが、その泉に数千年前から地球に飛来している宇宙生命体がおり、地球人にはあまり介入せずに観察している、そのような形で関わります。[ひらめき]
中世なので、宇宙生命体のような考えは地球人はほどんどないので、神や悪魔または精霊の力を持つ何か、というような捉え方をします。[あせあせ(飛び散る汗)]
ただし、地球人から見ると人のような姿をしているのですが、それは本来の姿ではなく、地球人の前にいるのは(有機)ロボットとでもいうようなもので、それを介して、本体が情報を得たりコミュニケーションをしているという感じです。もちろん、それは動物の姿もあり、しかも多数同時にカメラやセンサーのように用意したりもしています。
この辺りがSFですね。SFが苦手な方でも、あまり気にならないと思います。

全体としては、中世ドイツの歴史小説みたいな感じです。[グッド(上向き矢印)]
タイトルの「風の邦、星の渚」ですが、これは何を意味するかピンと来ない人も多そうですね。英語のタイトルも併記されているのですが、それを見て私はちょっとピンときました。[わーい(嬉しい顔)]
私が感じたのは、「風の邦」は「Nation In Wind」となっていますが、数千年以上生きることのできる宇宙生命体から見ると地球の街の興亡なんて風が通りすぎるようなものなのだろう、ということでしょうね。
そして、「星の渚」ですが「Beach On Stars」となっています。この英語を見て、ピンときました。[ひらめき]ルーズスフェントの街が中洲にあり、その中洲の河口側に渚があることに関係します。
ネタバレになりますが、その渚は宇宙生命体の本体(乗り物?)の上に積もった砂の部分でもあったので、「On Stars」ということにしたのでしょう。

中世ドイツの歴史ものとSFとどうつながるのだろう、と思っていたのですが、きちんとSFも入っているし、でもそれほどSFは強くなく、良い感じに仕上がっていました。
こういう設定もできるのだな、と面白く感じた一冊でした。[グッド(上向き矢印)]




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