ときどき出てくる趣味の本の紹介の記事です。#59144;
今回も、またお付き合いいただければ幸いです...
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今回紹介する小説は、伊藤計劃 著の 「虐殺器官」です。#59130;

以前に紹介した「ハーモニー」の前に刊行された小説です。(以前紹介したときの記事は「こちら」)
伊藤計劃さんとしては、デビュー作ですね。#59126;
そして、これも「Project ITOH」としてアニメ映画化や漫画化もされてます。実写映画化の話もあるようなのですが、どうなっているのでしょう?

作品の背景としては、少し先の時代でサラエボで発生した核爆弾テロにより世界中で戦争・テロが激化していて、テロの脅威に対抗するために先進諸国では個人情報の管理体制に厳格化してはいるものの、後進国では内戦などで虐殺が横行しているという状況です。#59122;
その後進国での虐殺が、ある人物によって扇動されているということがわかり、主人公(アメリカ情報軍)にその人物の暗殺命令を受けて行動をする、という内容です。#59131;
いろいろな人間関係もあり、追いつ追われつの状況ですが、最終的には暗殺まで実行され作戦が終了します。
それで終わりというわけではなく、最後の最後でアメリカを中心とした内戦が始まる、という形で物語は終わります。#59124;
(なお、アニメ映画ではその最後の部分はほとんど出てきません。)
ちなみに、「ハーモニー」はその最後の内戦などの戦争が終わってからの世界のお話を位置づけられてます。

この中で虐殺を扇動する方法が「虐殺文法」を使用して行うというもので、それ自体は人間の深層心理にあるということになってます。#59131;
主人公は、追っていた人物からそれについて知らされ、その人物が暗殺された後、英語圏で「虐殺文法」を使うことになってしまい、最終的なアメリカでの内戦が勃発するという流れです。#59144;

これだけ聞くとなんのこっちゃかもしれませんが、小説の中ではわかりやすく話が進んでいき、かなり引き付けられます。#59125;
また、SF小説ですが、哲学的な部分もあり、いろいろと考えさせられます。
アニメ映画のほうは、ちょっと残虐的なシーンもあるので15歳以上の指定となってます。アニメ映画だけでなく、小説も読むことで全体像がはっきりするだろうなと思います。
タイトルの「虐殺器官」ですが、「虐殺文法」の作用する部分が体にあるという意味があるようですね。
最後までなかなかすごい展開があるので、とても面白かったです。#59120;